ちょっと覗いた香港


 ゴールデンウィークの4連休を利用して、妻とあわただしく三泊四日の香港旅行に出かけました。とは言っても香港到着は深夜、香港出発は早朝で実質的には中二日の強行軍でした。僕たちにとってアジアは初めての経験でしたが、日本と同じお箸と漢字の国とは言え、香港は僕たちの視野を広げるのには充分な異国でした。

フェリーから香港島を眺める


 香港島をトラムの二階に乗って西から東へ移動するとみじかい距離の間でめぐるましく風景が変化します。上環は神戸のような坂の町で、エスカレータで上にあがると香港の人たちの生活が見えてきます。街角には市場があり固まりのままのぶら下がった豚肉や生きた鶏が売っていました。セントラルやアドミラルティはアジアの金融の中心地で近代的な高層ビルが建ち並んでいます。灣仔の横町では露店が並び、銅鑼灣は大きなショッピングビルが並んで新宿にでもいる気分です。一方、九龍半島の尖沙咀は奇跡の一マイルと呼ばれるネイザンロードを中心にグロテスクなほどの活気と色彩と喧噪に満ちています。旺角にある女人街には土曜日の夜に行きましたが、身動きがとれないほどの人出でした。どこに行っても香港は蟻のように人が集まっています。

上環の坂の上にある古道具屋
女人街
なんか怪しげな重慶大厦(チュンギンダイハ)
深夜特急の沢木耕太郎はこの中の Golden guest house に滞在している。

 香港ではいくつかの公共交通機関を利用しました。地下鉄、スターフェリー、香港島を東西に結ぶトラム、そして有名なビクトリアピークへのピークトラムなどです。地下鉄とスターフェリー、ピークトラムはオクトパスカードというプリペイドカードが使えます。これはセブンイレブンなどのコンビニでも使えるそうで、地域のデジキャッシュとして先端的なシステムとなっているようです。

 ラッシュの地下鉄MTR(リンクしてます)に乗り合わせましたが、会話も携帯電話も大声を出した方が勝ちで、その賑やかなこと賑やかなこと!すごいバイタリティに日本でのマナーなど吹き飛んでしまいました。その中で家内の横に座った小学生くらいの男の子が図書館で借りた三国志を読んでいました。全部漢字なのに読めるんだなーと変に感心してしまいました。

 ところで二、三軒本屋さんに入ったのですが英語の本が多いです。ホテル(リッツ・カールトン)でもすべて英語で、僕たちは海外に行くときは必ず現地の言葉で挨拶やお礼を言っているのですが、香港ではせっかく覚えた片言の広東語では挨拶しにくい感じがします。香港人は英語名を持ち英語教育が充実しています。これは香港の国際化に役立つのでしょうが、逆に自国の言語(広東語)が英語より一級下に軽んじられている感じを受けました。そんなところからも、アヘン戦争、英国の支配、日本の占領、共産党と国民党の内戦、中国返還など歴史に揺れた香港の人たちの気持ちを感じることが出来ました。ただこれも中国の影響が強くなるとだんだんと変わっていくのでしょうね?香港の中国化が進むと、香港の優位性は上海やシンガポールに奪われてしまいそうな気がします。

 食事は旅行雑誌のお勧めに従ってレストランを選びました。尖沙咀の福臨門魚翅海鮮酒家ではフカヒレ・アワビ・ツバメの巣の三点セットをいただきましたが、期待に違わずものすごくおいしく、そしてものすごく高かったです。上環のラーメン店羅富記粥麺専家の雲呑麺もとてもおいしかった。一般の食堂では、お皿は充分に洗って無く不潔でした。もちろん森喰い虫である割り箸などは無く、箸は使い回しです。取り箸を使う習慣も無いようです。香港では祖父母から孫・ひ孫まで大家族で大きな円卓を囲んで食事をしています。核家族化した日本の食卓とは大違いです。でも大人の世界であるホテルのすてきなバーに大家族が子供連れで入ってきたのは驚きでした。

福臨門魚翅海鮮酒家
下は名物のふかひれです。
僕たちの結婚27周年記念日です!
追記:ミシュランガイド2009香港・マカオで1つ星を獲得。
羅富記粥麺専家の雲呑麺

地元のお客さんでいっぱい、とってもおいしいです!
リッツ・カールトンのチャイニーズレストラン
一流ホテルのダイニングなので安心して食べられます。


 ところで僕たちは関西空港と香港国際空港の間を往復したのですが、どちらの空港ビルもイタリアのデザイナー、レンゾ・ピアノ氏のデザインによるものだそうです。白いパイプと帆布、壁のない広々とした空間など確かによく似た構造ですが、受ける印象はかなり違います。関空の方が小さな分、個性的に仕上がっているような気がします。日本に帰って感じたことは、大阪にビルがない!梅田も難波も人が少ない!そういえば香港島には農業がなかった!そして頬をなでる風が涼しく心地よい!

 香港では見るもの・聞くものが皆怪しげです。重慶大厦の両替屋、キャットストリートの古道具屋、上環にある道教のお寺、道ばたで話しかける「偽物ローレックスは要りませんか?」という片言の日本語、赤・黄・緑の建築物、生活と密着した風水と龍、切断した手足を見せる乞食、チアノ−ゼが来た死にかけのおばあさんをリアカーに乗せて引っ張りながら金を請うている女、竹を足組にして半年で建つ高層ビル。

 香港は混沌と喧噪の魔都でしたが、そこには日本が失ってしまったアジア特有の活気が残っています。スターフェリーから見た香港島の夜景や、ホテルの窓から見たビクトリアハーバーの夕暮れの美しさと伴に僕たちの心にいつまでも残るでしょう。




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