ハーレム・ニューヨーク


 家内と僕は9月にハーレムを訪れた。安全のために現地のツアーに昼と夜の二回参加した。セントラルパークの北はブラック・ハーレムと呼ばれ、きわめて治安の悪い地域として有名である。ガイドブックにもこの地域は省略されることが多いしタクシーも行ってくれない。夜、110番通りにはいると町はとたんに真っ暗になり、街角には何をするでもない黒人たちがたむろしている。放火されたビルもそのまま放ってある。ハーレムの西側にはモーニングサイドハイツという高級住宅街がある。目の前のほんの少しの坂を上っただけで世界が違うのだ。ハーレムで生まれ育ち、ダウンタウンの摩天楼がすぐ近くに見えるのに、ハーレムから一歩も出たこともない黒人もいるとも聞いた。

 ハーレムツアーを主催するのはトミー・富田さん。六本木でジャズクラブを経営しておられたがハーレムに渡り20年、ずっとブラック・カルチャーの紹介を続けている。彼のツアーはごく数年前までは拳銃を持った護衛がついたそうです。彼の生き方はNHKの「遠くにありてにっぽん人」で「黒人文化の息づく街で〜ニューヨーク・トミー富田〜」という題名で放映されます。

 ソウルフードは「Sylvia's Restaurant」でいただいた。ソウルフードは黒人奴隷の時代に主人の残り物をもう一度調理し直して食べたのが始まりで生ものはない。料理の内容は、コーン・ブレッド、フライド・チキン、スペア・リブ、「かます」のフライ、カラード・グリーン(高菜に似た野菜の炒め物)などで結構いける料理です。ジャズはLENOX LOUNGEで聞いた。1939年から続くジャズの名門クラブでニューヨークのランドマークに指定されている。1940年〜50年代にはジョン・コルトレーン、マイルス・デイビスなど巨星たちのたまり場だった。かぶりつきに座ったので僕のほんの目の前で演奏、音楽のすばらしさに感動して涙が止まらなかった。女性のジャズシンガーはとても有名な方で、カルテットも検索すると沢山CDを出していた。

 ゴスペルミサにも参加した。僕たちが参加したミサは麻薬中毒患者さんの更正のために行われているもので、聖歌隊もミサの参加者もすべて麻薬中毒から立ち直ろうとしている人たちである。踊っている人、泣いている人、歌っている人、みんな強い信仰心に支えられている。それに全身をふるわせながら説教する牧師さんの姿がすごかった。ミサがすむとみんなそろって麻薬患者収容施設に帰っていきました。