医療の市場(いちば) (平成13年)



医療の分野への市場原理の導入が声高に叫ばれています。市場が成り立つためには、そこに参加する買い手と売り手が存在し、その取引において三つの原則が成り立っている必要があります。

このBについて考えてみましょう。インゲン豆の市場があるとします。インゲン豆に関する情報として「大きい豆は立派だがまずい。小さい豆は貧弱だがおいしい」というのがあるとします。売り手と買い手がこの同じ情報を共有していれば、そこでは公正な取引が成り立つはずです。

ところが買い手にこの情報が伝わっていなかったり、買い手がその情報を正しく理解できなかった場合(情報の非対称)買い手は、見た目は良いがまずいインゲンを高く買うことになります。そしてさらに不幸なことは、安くておいしい小さなインゲン豆は市場から駆逐されていくのです。この「売り手」を「医療機関」に、「買い手」を「患者さん」に、「小さいけどおいしい豆」を「良い医療」にそれぞれ置き換えて考えてみてください。

医療においては売り手と買い手が対称的に情報を共有するのがなかなか難しい分野です。その為に市場原理だけによっては医療資源の分配の公平さを保障できないということになります。医療資源の分配が「医療のニーヅに従って効率的に」行われる社会の仕組み造りが必要だと思います。